マザーボード対決 1/5 | 高級パーツ vs. 低価格パーツ 2009

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TEXT：鈴木雅暢

マザーボード対決

高級マザーボードを選ぶ理由

低価格マザーボードを選ぶ理由

マザーボードそのものの性能が大きく変わるわけではないものの、高級品は拡張性、オンボード機能、付属品などの差別化に加えて、電源部を中心とした品質面、冷却性能など付加価値が大きい。これらは後から追加するのが難しいので、最初から備えておくべきものだ。

チップセットが同じであれば基本性能は同じ。新しいCPUが登場すればマザーボードも新しいものが必要になることが多く、高価なものはもったいない。マザーボードは安定して動作してくれればそれでよく、使わない機能や付属品がいくらあっても仕方がない。

ROUND1　マザーボードの性能の違い

■	グラフィックス機能統合型では大きな性能差が

　CPUやビデオカード、HDDなどと違い、マザーボードについては、マザーボードそのものの性能がPCシステム全体の性能に影響を与えることはほとんどない。2万円を超えるような高級マザーにはハイエンドのチップセットが搭載される傾向があるが、ローエンドチップセットとの差別化部分はチップセット自体の性能というより、RAID対応などの機能面や、より高速なメモリに対応していたり、マルチGPU構成に対応していたりといった対応パーツの差によるところが大きい。OCメモリやマルチGPUを使わず、一般的なシステムで利用する限り、マザーボードによる性能差というのはほとんど気にする必要がない。

　なお、Intel P45などはチップセットレベルではDDR2 SDRAMとDDR3 SDRAM両方に対応しており、マザーボードによってどちらに対応するか（あるいは両方に対応するか）で違いが出る。下のグラフは対応メモリの違い（DDR3-1066とDDR2-800）による性能の違いを比較したものだが、メモリ帯域自体はDDR3のほうが高速だが、アプリケーションレベルではDDR2が逆転している。だからDDR2がよいとも言い切れないが、いずれにしてもメモリ速度の影響はこの程度であり、無視してよいレベルだろう。

　もっとも、チップセットにGPUコアを内蔵したグラフィックス機能搭載マザーボードの場合は、当然ながらチップセットの性能を無視することはできない。チップセット内蔵GPUコアの性能がグラフィックス性能に直結するのは当然のことだ。とくに3D描画性能や動画再生のパフォーマンスに大きくかかわってくる。チップセット別に3D描画性能の違いをDirectX 9.0c世代のベンチマークテスト「3DMark06」で比較したのが下のグラフだ。4項目あるが、ゲームシーンベースのSM2.0のスコアが目安としては適しているだろう。結果はGeForce 9400、AMD 790GXはローエンドビデオカードに迫るほどで、オンラインゲームなどの比較的ライトなタイトルなら十分快適に楽しめるレベルにあると言える。逆にIntel勢は低調で、3D描画性能は期待できない。G31はH.264のハードウェアデコードにも対応しないため、動画再生パフォーマンスでも決定的に劣る。

【検証環境】
［DDR3環境］
マザーボード：ASUSTeK P5Q3 Deluxe/WiFi-AP@n （Intel P45＋ICH10R）
メモリ：Corsair Memory TR3X3G1333C9（PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×3のうち、2枚を使用）

［DDR2環境］
マザーボード：ASUSTeK P5Q-E（Intel P45＋ICH10R）
メモリ：Team Elite TEDD4096M800HC5DC（PC2-6400 DDR2 SDRAM 2GB×2）

［共通環境］
CPU：Core 2 Quad Q9650（3GHz）
ビデオカード：NVIDIA GeForce GTX 285リファレンスカード
HDD：Seagate Barracuda 7200.11 ST3320613AS（Serial ATA 2.5、7,200rpm、320GB）
OS：Windows Vista Ultimate SP1

【検証環境】
［AMD環境］
CPU：Phenom II X4 955 BE（3.2GHz）
マザーボード：MSI 790GX-G65（AMD 790GX＋SB750）、ASUSTeK ASUSTeK M3A78-EM（AMD 780G＋SB700）

［Intel環境］
CPU：Core 2 Quad Q9650（3GHz）
マザーボード：DFI LANPARTY JR GF9400-T2RS（NVIDIA GeForce 9400）、GIGABYTE GA-EG45M-UD2H（Intel G45＋ICH10R）、GIGABYTE GA-G31M-ES2L（Intel G31＋ICH7）

［ローエンドビデオカード］
Sapphire HD 4350 512MB DDR2 PCIE HDMI LP ファンレス（ATI Radeon HD 4530、LANPARTY JR GF9400-T2RSで使用）

［共通環境］
Corsair Memory TR3X3G1333C9（PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×3のうち、2枚を使用）
メモリ：Team Elite TEDD4096M800HC5DC（PC2-6400 DDR2 SDRAM 2GB×2）
HDD：Seagate Barracuda 7200.11 ST3320613AS（Serial ATA 2.5、7,200rpm、320GB）
OS：Windows Vista Ultimate SP1



グラフィックス機能統合型ながら2基のPCI Express x16スロット（8レーン×2）をサポートするなどハイエンドの構成に対応するAMD 790GX。搭載マザーボードも機能充実の高価な製品が多い		LGA775対応のグラフィックス機能統合型として最高の3D描画性能を持つGeForce 9400。外部GPUと連係して3D描画性能を高める「Hybrid SLI」に対応する。搭載マザーはmicroATXが中心